10 年前、国際教養大学(略称 AIU)の学生が海外の若者ともっ と関わる方法がないだろうかと思いを巡らしていた時、この団 体の構想が生まれた。日常的な会話や付き合いは AIU の場合、 恵まれているが、もう少しフォーマルな形式で、自分の意見や 意思表現をロジカルに、かつキチンとわかりやすく伝える国際 的な訓練の場がもっと欲しいと思ったからである。また、国境 を越えて一つのコンセンサスを作り、その行動のために共に 試行錯誤を繰り返しながら準備をし、そして共に一つの行動をし て互いに知覚できる結果をだすという一連の国際的な協働が、 どれだけの多くの学びの機会を提供するかという点を多少なり とも知っていたからでもある。SRT のこれまでのメンバーは実 にこの期待に応えてくれたように思う。参加国、大学も当初の 韓国だけから、今やモンゴル、大陸中国、台湾、ロシアが加わり、参加者数も毎回増加傾向にある。最近では日本国内の他大学からの参加者も出てき た。SRT が単なる学生のお祭り やお楽しみ会でなく、それに参画する人々が“何か”を掴 んでそれが周りに伝わってきている証左なのかもしれない。今ではこうした“場”や ネ ットワークが今後どういう形で発展していくか大変楽しみである。この団体は生まれて 10 年目、人間ならば小学校の入学を果たし、幼児段階を終えて次第に活動も本格化し始 める時期でもある。今後とも SRT が益々の成長をし、そして力強い中学、高校、大学生へ と進んでいくことを切に願っている。

北東アジア学生ラウンドテーブル顧問 教授 水野 智仁